実験・評価

1社で8年。自動車用モータの実験エンジニアとして、スキルを磨き続けたい。

2011年入社
遠藤 太生樹 TAIKI ENDO

《プロフィール》
大学では電気系を専攻。大手自動車部品メーカーで、電動パワーステアリングモータの実験・試験を担当。

大学時代に学んだ電気系の知識が活きている。

大学時代は、電気回路やそれに関連する公式を学びし、実際に部品を組んで実験していたこともありました。営業担当から現在のモータの性能評価業務を聞いた時は、大学時代に学んだ内容を活かせると思い、とても興味がわきました。

実際行っている業務は、開発段階のクルマの電動パワーステアリングに使用されるモータの性能評価になります。さまざまな条件においてテストを行い、モータの挙動が規格内であるか、異常が発生したときに仕様通りに動作しているか、専用の測定機器を使用しながら、モータの基板に組み込まれた回路を確認する業務です。もちろん就業先で学んだ知識の方が多いのですが、やはり大学時代に学んだ電気回路の知識や実験をする際の段取りなど、仕事に活かせるところは多々ありました。

実験エンジニアとしてスキルの幅を広げ、考察力を磨く。

私の職場では、まずチームリーダーが試験計画書をもとに、誰がどの実験を担当するのかメンバに業務を割り振ります。その後、私が実験の段取りを決めて、専用の装置や計測器を準備し、実際に実験を行います。データを収集し、結果を提出するまでが実験業務の流れです。1つの実験にかかる期間はおよそ1〜3カ月程度になります。

配属後最初の業務は、モータの異常動作実験でした。運転者がさまざまな条件でハンドル操作をした際にモータが仕様通り作動するかの動作試験です。次に担当したのは、車載バッテリーが電力遮断された場合の異常動作についてです。電子回路は異常な電圧に弱く、静電気などにより一瞬パチっとなっただけで壊れてしまうこともある。そうした不具合で生じたハンドルの誤作動は事故につながりかねません。静電気とはいえ、私たちの命につながる大事な実験です。

ほかにも、雨や水しぶき、雪、埃などの各環境における実験、電磁波や振動の実験など、8年の間にさまざまな仕事を任せてもらえるようになりました。同じ職場ではキャリアが長いので、よくメーカーの社員の方に質問もされますし、頼られることが増えました。何より、実験データを多角的な視点から検証し、データから読み取れることを考察し伝える力が身に付きました。仕事を通じて自分に自信がもてるようになり、やりがいにもつながっていますね。

ロジカルシンキングを活かして、業務効率化に貢献。

私はもともと「なぜそうなるのか」「これはこういう理由がある」などといったように、物事をロジカルに考えることが好きで、これは実験業務の効率化にも役立っています。

例えば、Excelのマクロを活用した業務の自動化です。これまで実験結果はCSVというテキストファイルで出てきたものを手作業でExcelのチェックシートにコピー&ペーストしていましたが、手作業のためミスも起きかねない。そんな矢先、上司から改善できるか相談があり取り組んだものです。Excelのマクロで記録することで、手作業がなくなり自動で行えるようになりました。こうした少しの工夫が工数削減やミス防止につながり、上司や同僚にも喜んでもらえています。

物事を体系的にとらえ筋道を立てて答えを導き出すことって、楽しいんですよね。私は料理やお菓子作りも好きでよくするのですが、おいしい料理には理由があるんです。火の通りやすい具材の切り方、調味料の入れる順番など全部に理由がある。とてもロジカルで、「なるほど」と思うことばかりです。今振り返れば、エンジニアの仕事って、自分に向いているのかも。トライ&エラーを繰り返しながら答えを導き出していく、こんな面白い仕事って、ほかにないのかもしれません。

取材日:2024.2.7